村上先輩!このフレーズで「あっそうそう」と誰だかわかる人は少ないでしょう。彼は当スクールの渡辺秀文の出身地、七ヶ宿町の先輩である。現在ICI仙台店に勤務し、全日本スキー技術選手権大会も宮城県代表として出場し活躍してる。

その村上先輩と私の出会いは、10数年前、グラススキージュニア世界選手権大会がドイツで開催された時に、私がコーチ、彼が選手として参加したのが大きなきっかけとなった。選手3名コーチ1名、そして父兄1名の5名の日本代表選手団は、フランクフルトからレンタカーで大会地まで移動、外国遠征が始めての選手は緊張しながらも検討していた。

そして大会期間中にその出来事は起きた。村上先輩(当時は選手)が私の部屋に慌てて入って来て、「やっちゃいました。やっちゃいました。豊野さんやっちゃいました。」と連呼している。何を?聞き返すと「インロックしちゃいました」との返事。その車の中には明日使用するスキーが入っている。そして車はオーストリアから持ってきたもの、更に宿泊地はドイツの片田舎。

まずは迎えにある金物屋に駆け込む、おじさん無理そうな顔をしている。次にガソリンスタンドから2名の大男がやってきた。これは期待できると思った次の瞬間、車からか取り出したのは、太い針金一本、その瞬間私の期待は絶望へと変わった。どう見ても空くわけがない。車はレンタカーと言えど、フォルクスワーゲンのワンボックス(盗難防止ブザー付き)である。最後には二人で声を掛けてウィンドに手を当てて押し下げようとしていた。とても原始的である。
「ダンケシェン」という言葉でスタンドのおじさんに感謝を告げて、あとは自力でどうするか?という状況になった。

女子の濱嶋選手(現在も愛知県代表で技術選出場中)のお父さんと二人でその鍵を開ける作業に着手。その後20分後くらいに奇跡的にインロックを解除することが出来た。(方法は防犯の為に書けません)

そんな、印象的な出来事があったドイツ遠征。当時の村上先輩はとても愛くるしく可愛いい印象を持つが、現在はとても立派に社会人として活躍している。
写真は6月上旬に仙台にて3人で会食をした時の様子。
これからも村上先輩には更に活躍してもらいたい。

そして、明後日8月3日から今度は渡部秀文がコーチとしてスロバキアで行われる。FISチルドレンキャンプに行って来る。今回は移動がレンタカーではないので、インロックの心配はないと思うが、何かしらアクシデントはつき物である。そんなことを乗り越えて、選手が力を出し切れるよう頑張ってもらいたい。